イベントにおいて電源の確保というのは重要なポイントになってきます。
どんな電源をどのくらい使うのかを予め把握して電源を準備しなければいけませんが、イベント現場などに行くと、その「どんな」「どのくらい」という電源(電気)の種類や計算方法を意外と知っている人が少ないなぁ…という印象を受けましたので今回は電源の基本を書きます。
まず下の画像を見てください。
一般的な電子レンジに貼りつけてある仕様が記載されたシールです。その赤枠で囲った中に注目してください。この中にこの電子レンジを使う上で必要な電気(電源)の種類が書いてあります。
定格電圧
画像の電子レンジは100V(ボルト)と表記されています。正確にはAC(交流)100Vです。海外でのコンセント電源は120Vや240Vという国や地域もありますが、日本の電源は100Vが標準です。この電子レンジは定格電圧に100Vとしか表示されていませんので、日本でしか使えません。他の電圧でも使用できる場合【100V-240V】などと表記されています。
また、交流とは一般的に家庭のコンセントから取る電源です。反対にDC(直流)は乾電池や車のバッテリーなどから取る電気になります。
定格周波数
日本には地域によって電気の周波数が違います。概ね東日本が50Hz・西日本が60Hzとなります。詳しくはこちらで…。
現在販売されているほとんどの製品は上のレンジのようにヘルツフリー(50Hz・60Hzどちらでも使える)ですが、一部の製品や昔の製品などは、どちらか一方しか使えないものもあります。
その地域の周波数に対応した製品を使用しないと本来の性能が発揮出来ないばかりか、火災などのの危険性もあります。
定格消費電力
イベントで電源を使用する際、最も重要なポイントになります。
上の電子レンジの画像では【1.32kW】となっています。
1.32kW=1320W となり、このレンジを使う際に使う電力消費量は1320Wということになります。
イベントなどではこの【W(ワット)】のかわりに【A(アンペア)】を使用することがあります。
※本来ワットとアンペアの意味するものは若干違いますがここでは省略します…(笑)
100W=1A ですので、 1320W=13.2A となります。
家庭用のコンセントは1回路1500Wまでですので、同じ回路上で同時に使用できるのは、あと180W以下の機器だけです。
ここで、よく勘違いが起こります!!
1回路というのは部屋の壁コンセント1ヶ所に付き1500Wという意味ではありません。部屋にコンセント差込口が3ヶ所ある場合でも壁の裏ですべてのコンセントが並列に繋がっているかもしれません。その場合、3ヶ所のコンセント全部合わせて使える電力が1500Wとなります。
当然、3ヶ所でそれぞれ1500Wずつ使ったらブレーカーが落ちます。
イベントで電源を用意する場合も同じで、いくらコードリールやタップなどでコンセント口を増やそうが、元の電源の容量を超えて使うとブレーカーが落ちます。
イベントで使用する電気機器がどのくらい電力消費するのかをすべて計算し、余裕のある電源を用意する必要があります。
ついでに…
これも意外と勘違いしている人がいますので説明します。
上の画像の中に【定格高周波出力 850W】と記載があります。最近の電子レンジは物を温めるとき600Wとか800Wとか1000Wなど出力を切り替えて温めることができる製品が多いです。
上の画像のレンジは安い商品なので850Wでしか温められませんが、この出力850Wの表示を定格消費電力と勘違いしている人が結構います。
あくまで【定格高周波出力 850W】はレンジが食品を温めるパワーであり、レンジ自体が850Wで動くという意味ではありません。
例えば【定格消費電力:900w】【定格高周波出力:750W】の電子レンジがあったとしましょう。これを定格消費電力750Wのレンジだと勘違いし、2台でちょうど1500Wなので1回路で2台使用したとします。しかし実際の定格消費電力は900Wなので当然2台を同時に動かすとブレーカーがあがります。
また、電気機器(特にモーターなどを使う製品に多い)には起動電力といって、動き始めのときだけ定格消費電力の2~3倍ほどの電力を使うものもあります。
いずれにせよ電源は余裕を持って準備するに越したことはありません。